個別株の固有ボラティリティ
factor.formula
個別株の固有ボラティリティの式は次のとおりです:
資本資産評価モデル(CAPM)回帰:
ファーマ・フレンチの3ファクターモデル(FF3)回帰:
式中:
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は、時点tにおける株式iの固有ボラティリティであり、残差項\epsilon_{i,t}の標準偏差に等しく、通常は過去Kヶ月の履歴データに基づいて計算されます。
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は、時点tにおける株式iのリターンです。
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は、時点tにおける無リスク金利です。
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は、時点tにおける市場リターンであり、通常は市場インデックスのリターンとして表されます。
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は、株式iの切片項であり、市場またはファクターモデルの説明を超えた株式iの平均リターンを表し、モデルでは説明できないリスク補償と見なすこともできます。
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は、個別株iの市場リスクプレミアムに対する感度、つまり市場リスクエクスポージャーです。
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は、時点tにおける株式iの残差項であり、ファクターモデルでは説明できない株式固有のリターン部分を表します。
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は、時点tにおける市場リスクプレミアムファクターであり、市場リターンから無リスクリターンを差し引いたものに等しいです。
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は、時点tにおけるサイズファクター(小型株マイナス大型株)であり、小型企業の株式リターンと大型企業の株式リターンの差を表します。
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は、時点tにおけるバリューファクター(高簿価純資産比率マイナス低簿価純資産比率)であり、簿価純資産比率の高い企業の株式リターンと簿価純資産比率の低い企業の株式リターンの差を表します。
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は、個別株iの市場リスクプレミアムファクター、規模ファクター、バリューファクターに対する感度、つまり、個別株がこれらの3つのリスクファクターにさらされる度合いです。
factor.explanation
個別株の固有ボラティリティは、市場やマルチファクターモデルとは無関係な、株式リターンにおける株式固有のリスクを反映します。これは比較的独立したリスク測定指標です。実証研究では、個別株の固有ボラティリティと株式リターンの間に負の相関があることが示されています。つまり、固有ボラティリティが低い株式は通常、高いリターンを持ち、これは低リスク異常の表れと考えられています。この異常の存在は、市場が完全に効率的ではない可能性を示唆しており、投資家は固有ボラティリティの低い株式を選択することで超過リターンを得ることができます。ただし、この戦略には、戦略の集中やモデルの失敗など、いくつかのリスクも伴う可能性があります。